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Windows 11で「Windows + R」キーを使いこなす | AI時代に差をつける作業効率化
2025.11.07
目次
AI時代の到来と、新たなスキマ時間
近年、ChatGPT や Gemini などの高性能な生成AIツールがビジネスの現場に浸透し、私たちの作業スタイルは大きく変化しました。企画書作成、データ分析、コード生成など、多くのタスクがAIへ委ねられています。
その一方で、AIを利用する「人間」のほうには新たな「スキマ時間」、つまり「待ち時間」が生まれているのも事実です。特にAIエージェントなどに多段階の作業を任せるような場合には、数十秒から数分といった、かなりの待ち時間が生じることも稀ではありません。
この「待ち時間」に、あなたはただ画面を眺めていませんか?

AIが思考している間にマルチタスクをこなすことで、さらなる効率化が求められる時代はもう始まっています。Windowsを搭載したパソコンで作業しているのであれば、「Windows + R」キーを利用することで、この「スキマ時間」を最大限に活用し、作業効率を向上させることが可能です。
本記事では、AI活用が一般化した現代だからこそ価値が再認識される「Windows + R」のショートカット術に焦点を当て、あなたの作業効率を向上させる「ちょっとしたテクニック」をご紹介します。
「Windows + R」キーとは?
Windows を搭載したコンピューターでは、「Windows」(ウィンドウズのロゴ)キーを押しながら「R」キーを押すと、デスクトップの左下に小さなダイアログボックスが表示されます。
この「ファイル名を指定して実行」ダイアログからは、実行したいプログラム名を入力して Enter キーを押すことでプログラムを起動することができます。

今さら「Windows + R」?
AIを活用して作業を行う中で、システム開発であれば設計書を確認やテストデータの準備、さらには複数のAIを利用してこれらの作業を並行して行うなどが考えられます。これらの作業を行う場合、AIを実行しているツールとは別のツールを利用することも多いでしょう。
これらのツールを素早く起動するため、ランチャーなどのソフトを利用している方も多いと思いますが、この場合ランチャーにフォーカスして起動したいプログラムのアイコンをマウスでクリック、といった動作が必要になります。これはツールバーやデスクトップ上のショートカットを利用する場合も同様です。
これに対して、「Windows + R」キーから「ファイル名を指定して実行」を利用してプログラムを起動する場合、キーボードから手を放すことなく実行することができ、さらにプログラムの起動時にオプションを指定することで、特定の状態で(例えば、Excelで直接「空白のブック」を開いた状態などで)アプリケーションを起動することも可能です。
「ファイル名を指定して実行」の基本動作
「ファイル名を指定して実行」の利用方法と役割
「ファイル名を指定して実行」の利用は非常に簡単です。まず「Windows + R」キーを押して「ファイル名を指定して実行」を起動します。
次に、「ファイル名を指定して実行」に名前を入力して「OK」ボタンまたは「Enter」キーを押下することで、指定したプログラムを起動することができます。

この「ファイル名を指定して実行」を利用する主な役割としては、以下のようなものが挙げられます。
- プログラムの起動
cmd や notepad のような実行ファイル名を入力して、対応するプログラムを起動します。 - フォルダ・ファイルのオープン
ドライブ名やフォルダパス、URL を入力して、エクスプローラーやWebブラウザで開きます。 - 設定画面の呼び出し
コントロールパネル内の特定のシステムツール名を入力して、設定画面に直接アクセスします。
実行の仕組み
では、「ファイル名を指定して実行」からプログラムを起動した場合、どこにあるプログラムが動くのでしょうか?この機能の強力な点は、「プログラムの実行ファイルがどこにあっても」起動できる点です。
「ファイル名を指定して実行」に入力した文字列は、Windowsが以下の場所を順番に探します。
1.「実行ファイル」が置かれた既定のフォルダ:Windows フォルダや System32 フォルダなど、OSの基本プログラムが格納されている場所。
2.Path 環境変数に登録されているフォルダ: Path は、システムがプログラムを探すために設定されている「検索パス」のリストです。多くの標準的なプログラムや、インストール時に登録された一部のサードパーティ製プログラムが、この検索対象になります。
(Path 環境変数の確認イメージ)

この仕組みのおかげで、フルパス(例:C:\Program Files\Microsoft Office\Office16\excel.exe)を入力しなくても、実行ファイル名(例:excel)だけで起動できるようになっています。
ただし、逆に言えば上記のいずれの場所にもないプログラム(exeファイルなど)やファイルを「ファイル名を指定して実行」から開く場合、通常はプログラムやファイルのフルパスを指定する必要があります。
「Windows + R」で起動できる主要プログラム
「ファイル名を指定して実行」から起動できるツールやプログラムには、具体的にどのようなものがあるのでしょうか。以下に主だったツールやアプリケーションについて、ジャンルごとに分けてご紹介します。
Microsoft アプリケーションの起動
「ファイル名を指定して実行」から特定の名前(コマンド名)を入力することで、メモ帳やペイントといったwindows に搭載されているアプリケーションや、Word、Excel といった Microsoft Office 系のソフトウェアを起動することができます。
| コマンド名 | 起動するプログラム・機能 | 用途 |
| notepad | メモ帳 | テキストファイルの作成・編集、一時的な張り付け |
| mspaint | ペイント | 簡単な画像編集やスクリーンショットの加工 |
| calc | 電卓 | 簡単な計算処理 |
| winword | Word (Microsoft Office) | Word を起動 |
| excel | Excel (Microsoft Office) | Excel を起動 |
| powerpnt | PowerPoint (Microsoft Office) | PowerPoint を起動 |
| outlook | Outlook (Microsoft Office) | Outlook を起動 |
以下のコマンドも「ファイル名を指定して実行」から実行できますが、これらは別のショートカットキーを利用することで直接起動できますので、使い分けすることをお勧めします。
| コマンド名 | 起動するプログラム・機能 | ショートカットキー |
| snippingtool | 画面スケッチ (Snipping Tool) | PrintScreen キー または Windows + Shift + S |
| explorer | エクスプローラー | Windows + E |
特定のフォルダをエクスプローラーで開く
「ファイル名を指定して実行」にフォルダのパスを入力した場合は、そのフォルダをエクスプローラーで開くことができます。
また、以下の「Shell:~」で始まるコマンドや、ピリオド( . )を利用することで、特定のフォルダをエクスプローラーで開くことも可能です。
| コマンド名 | フォルダの場所 | エクスプローラーで開かれるフォルダ |
| shell:desktop (※1) | デスクトップフォルダ | ユーザーの「デスクトップ」フォルダ |
| shell:personal | ドキュメントフォルダ | ユーザーの「ドキュメント」フォルダ |
| shell:downloads (※1) | ダウンロードフォルダ | ユーザーの「ダウンロード」フォルダ |
| shell:recent (※1) | 最近使用したファイル | ユーザーの「最近使用した項目」フォルダ |
| shell:AppData (※1) | アプリケーションデータフォルダ | プログラムの設定ファイルが格納されているフォルダ |
| shell:startup | スタートアップフォルダ | PC起動時に自動起動するプログラムのショートカットを配備するフォルダ |
| . または .. | ホームフォルダ または 親フォルダ | ユーザーフォルダ(C:\Users\[ユーザー名])またはその親フォルダ(C:\Users) |
※1:「shell:」の部分を省略可能(「desktop」「downloads」「recent」「AppData」のみで実行可)
システム管理・設定
Windowsのシステムの状態確認や、使用頻度が高めの設定画面を呼び出すためのコマンドです。コマンドプロンプトやPowerShellといったツールを起動する場合も、このコマンドから起動するのが簡単です。
| コマンド名 | 起動するプログラム・機能 | 主な用途 |
| cmd | コマンドプロンプト | 各種コマンドを実行してコンピューターの操作を行う |
| powershell | PowerShell | cmd の後継となる強力なコマンドライン環境 |
| regedit | レジストリエディター | Windowsのシステム設定情報の確認・編集 |
| msconfig | システム構成 | Windowsのスタートアップやブートオプションを設定 |
| services.msc | サービス | Windowsで動作しているサービスの管理 |
| control | コントロールパネル | コンピューターの各種設定の確認・編集 |
| sysdm.cpl | システムのプロパティ | コンピューター名やシステムの詳細設定 |
| appwiz.cpl | プログラムと機能 (アプリのアンインストール) | アプリの追加・削除 |
| ncpa.cpl | ネットワーク接続 | ネットワークアダプターの設定画面 |
| devmgmt.msc | デバイスマネージャー | 接続されているハードウェアの管理やドライバーの更新 |
(実行例:msconfig)

その他に、コマンド名「taskmgr」でタスクマネージャーを起動することも可能ですが、こちらも別のショートカットキーで直接起動することができますので、使いやすいほうを利用するのが良いでしょう。
| コマンド名 | 起動するプログラム・機能 | ショートカットキー |
| taskmgr | タスクマネージャー | Ctrl + Shift + Esc |
実行履歴から再実行
入力したいコマンド名がすぐに出てこない場合、「ファイル名を指定して実行」から実行履歴を確認して再実行することも可能です。
コマンド入力欄の右側のボタン(▽)をクリックするか、キーボードで「Alt + ↓」(または「Alt + ↑」)を入力することで、過去に入力したコマンド名の履歴が表示されます。

※上記の画像で確認できないようにされているコマンドは、筆者が「ファイル名を指定して実行」から実行できるように作成したショートカット名です。ここでは、標準のコマンド名と混同されないようにモザイク処理を行っています。
実際の利用にあたって
今回は「Windows + R」キーからプログラムを起動する方法についてご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。使い慣れないうちは今まで通りの操作を行ったほうが早い、という感想を持つ方が多いと思いますが、慣れるとほぼキーボードから手を放さずに作業を進めることも可能です。(もちろん、Alt + Tab キーでアプリケーションを切り替えたり、各アプリケーションのショートカットキーも利用する必要はありますが)
また、勘のいい方はお気づきかと思いますが、自分で「ファイル名を指定して実行」できるショートカットを作成することも可能です。次回の記事では、この方法を含め「ファイル名を指定して実行」をさらに便利に利用する方法についてご紹介したいと思います。



